Engadgetでは年末年始にかけて、おすすめのガジェットやサービスを紹介するベストバイ2021企画を展開しています。以降から、2021年に反響の多かった飯田 有抄さんのレビュー記事を再掲してお届けします。
仕事や趣味でカメラを活用するクラシック音楽ファシリテーター飯田 有抄さんが、ひとクセあるFUJIFILMのミラーレス一眼カメラ「X-Pro3」に惚れ込み、愛用している様子をお届けするコラム風レビューをお届けします。
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あれはFUJIFILMのカメラX-E4が発売になる直前の、2021年2月中旬のこと。2020年秋から急激にFUJIFILMのカメラにハマってしまった私は、新たに発売されるカメラが気になってしかたなく、実機を見にお店へと出かけていきました。
そこで出会ってしまったのが、今日ご紹介するカメラ、X-Pro3です。それまではなんとなく、「自分にはぜんぜん関係ないカメラ」だと思っていました。
だって……液晶モニターらしからぬ、謎の小窓が付いてるし、「Pro」っていう名前だからどうせプロ仕様のちょっと特殊なカメラだろうし、とにかくその佇まいには、「ちょっと普通じゃない」ものが漂っているなぁ、と思っていたのです。
X-E4の実機を手にとっていた私に、店員さんが話しかけてきてました。X-E4に合うレンズは……という説明を受けていたら、その横に、あったのです…この、モワモワと不思議なオーラを醸し出しすX-Pro3が。積年の疑問をぶつけるように、私はその親切な店員さん尋ねました。「あの、これ…一体なんなんですか?」と。
「あ、これはね!」と一瞬、店員さんの目に鋭い光が走ったのを私は見逃さなかった。
「液晶モニターがない訳ではありません。普段はこんなふうに閉じておく。小さな窓に映し出されているのは、フィルムシミュレーション(往年のFUJIFILMのフィルムを再現した写真を撮影できる機能)の情報くらいですよ。
だから液晶を気にせず、ファインダーを覗きながら、とにかく撮影していくんですよ。ファインダーはガラスの向こうが直接見えるOVFに設定できて、スナップするときはこう右目にあてて、左手で状況を見ながら、いまだ!っていうときにシャッターを切るんですよ」
カシャ! …静かに響くシャッター音。一連の説明と、カメラを構えた店員さんの目つき手つきが、なにやらすごくカッコ良かった。
とにかく撮れ、撮りまくれ!シャッターチャンスを逃すな!そういう思想ありきで、わざわざ液晶をしまいこみ、液晶を開けば(下に90度、180度に開ける仕様)ちょっと変な見た目の状態になるという、この変態情熱カメラにすごく心を掴まれました!
防塵防滴、質実剛健。チタンのひんやりとした触感と高級感、全体のほどよいずっしり感、軍艦部のメカメカした雰囲気もかなり男前。
自分には関係ないカメラだと思っていたのに、スナップ好きの私の心にザックリ刺さってしまい、お迎えしてしまいました。X-E4を見に行ったはずなのに、なぜかX-Pro3を。この急展開に、むしろ私の心は踊り出し、「ばしばしスナップしてやるぜ!」という思いで溢れかえりました! あの特殊なオーラが今や私の味方に!すごくかっこいい相棒を得た気分です。購入しててから約4か月、ムラがありますがだいたい週平均で30から50枚くらい撮影しています。
そんな愛機X-Pro3の好きすぎる5つのポイントはこちら。
・姿形のすべてが男前(異様に感じていたあの小窓が、今や誇らしい)
・シャッター音。ピチッと静かに鳴る。大きすぎないのがクールで気持ちいい
・重すぎないけど高級感のあるずっしり感
・大きすぎないけど程よい大きさでグリップしやすい
・撮ったものを確認せずに、どんどん撮ろうという気持ちになれる
レンズはX-Pro3用に、XF35mmF2 R WRを選びました。スナップにはもう少し広角がいいかなと思いつつも、装着した時の見た目を重視(笑)。別売の金属製フードをつけたらますますハンサムになりました。このレンズをずっと付けっぱなしにしています。
太めで柔らかい革のストラップで肩から斜めがけにして、日頃の散歩や、仕事に行くときなど、いつも肩からぶらさげて、「お」と思う瞬間をサクサク撮影しています。画角にも慣れました。F値はもう少し明るいほうがいいかなと思っていたけれど、私には十分な明るさでした。ボケ味もちゃんと出せますし、そこそこ暗い場所でも大丈夫です。
何が楽しいって、設計思想通り、いちいち液晶で「どんな風に撮れたかな」と確認しないので、あとからSDカードをPCにさし込んで見た時に、自分の撮れ高に「おお!」となる時間。思いのほかうまく行ったものや、失敗かと思ったものがかえっていい味になっていたり、気分で選んでおいたフィルムシュミレーションがうまくハマっていたり、またはその逆だったり……。
偶然の産物的な要素がとにかく面白いのです。もちろん、狙ったとおりの撮影がしたくなったら、ファインダーをEVFにして、じっくり構図を作れます。でも、なんとなくこのカメラでそれをやると、負けたような気持ちになるんですよね(笑)。
撮影散歩にいかなくても、手に取って眺めているだけでも、ニヤニヤしてしまいます。触れた感じ、重さ、見た目、すべてが好みなんですね。ちらかった家の中でもムダにシャッターを切ってしています。
X-Pro3は17種類のシミュレーションを搭載しています。フィルムシミュレーションは色鮮やかな「Velvia」と、カラーネガフィルムをプリントを再現した「クラシックネガ」がお気に入りで、今回ご紹介した作例はクラシックネガ多めですがが、普段はVelvia率が高いです。
潔く、決然と、どんどん写す。そんなスナップ生活が俄然楽しくなりました。あまり遠出のできない時期でも、近所の散歩、ペットや家族の様子、散らかった部屋の中でもなんだか楽しく撮影してしまいます。
なんでもない1日を、なにげない一枚に記録。X-Pro3だとそれが特別になるんです。
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FUJIFILM X-Pro3
有効画素数約2,610万画素
撮像素子23.5mm×15.6mm(APS-Cサイズ)
センサークリーニング圧電素子による超音波方式
記録メディアSDメモリーカード(~2GB)/SDHCメモリーカード(~32GB)/SDXCメモリーカード(~512GB)
UHS-Ⅰ/UHS-Ⅱ対応、ビデオスピードクラスV30対応(*1)
静止画記録方式DCF Ver.2.0準拠
圧縮: Exif Ver.2.3 JPEG準拠、 DPOF対応(*2)
非圧縮: 14bit RAW(RAF独自フォーマット)、16bit TIFF(RGB)
レンズマウントFUJIFILM Xマウント
撮影感度標準出力感度AUTO1/AUTO2/AUTO3/ISO160~12800(1/3段ステップ)
拡張モードISO80/100/125/25600/51200
測光方式TTL256分割測光
ファインダーOVF電子式ブライトフレームファインダー(逆ガリレオ式)
ファインダーEVF0.5型有機ELファインダー
カラー
本体外形寸法[幅]140.5mm×[高さ]82.8mm×[奥行き]46.1mm(最薄部34.8mm)
質量約497g(バッテリー、 SDメモリーカード含む)/約447g(バッテリー、 SDメモリーカード含まず)
関連リンク:X-Pro3
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