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2021年の注目度No.1スマホ「BALMUDA Phone」に10万円以上払う価値はある?


■連載/石野純也のガチレビュー

チーズトーストがおいしく焼けるトースターや、自然の風を再現した扇風機が大ヒットし、メジャーへと躍り出たバルミューダが、スマートフォン市場に参入した。同社が開発した「BALMUDA Phone」は、その知名度の高さもあり、2021年11月に発表されるやいなや、大反響を巻き起こした。反響の大きさは、2021年で言えばiPhoneを超えたといっても過言ではない。2021年5月にスマートフォン市場への新規参入を発表し、期待感が高まっていたことの証拠だ。

 一方で、主にネットの声を分析していくと、必ずしも好意的な意見ばかりとは限らない。むしろ、期待を下回っていたことに対する、ネガティブな意見の方が多かったほどだ。特に10万円を超える価格に対しては、疑問視する声が集中した。発売後に、売りにしていたカメラの料理モードに不具合があったり、技適の問題で一時販売が停止していたりしたことも、こうした声に拍車をかけた要因といえるだろう。

 とはいえ、スマホはスペックと価格だけですべての評価が決まるわけではない。高くても、そのスマホなりの価値がきちんと訴求できていれば、ユーザーにしっかり受け入れられることもある。では、BALMUDA Phoneは価格に見合った製品といえるのか。前評判などの先入観は極力排したうえで、その実力をレビューしていきたい。

バルミューダ初のスマホとして大反響を呼んだBALMUDA Phone

手にフィットするサイズ感と良し悪しある丸みを帯びたボディ

 BALMUDA Phoneは、大画面化が進むスマホへのアンチテーゼとして生まれた1台だ。サイズを見ればわかるように、ボディは非常にコンパクト。ディスプレイサイズは4.9インチで、6インチ前後が当たり前になりつつある昨今のスマホとは一線を画している。アンチテーゼという意味では、丸みを帯びた背面も、直線で構成されることが多くなってきたスマホとのトレンドとは大きく異なる。発表時にも述べられていたように、石のような丸みを帯びたボディは、BALUMDA Phone最大の特徴だ。

丸みを帯びたボディ。背面はもちろん、前面のディスプレイもわずかにカーブしている

 こうした形状を採用した結果、手に取ったときのフィット感は抜群に高い。背面が柔らかな曲線になっているため、長時間持っても手が疲れないのはうれしいポイントだ。ただし、そのトレードオフとして、机やテーブルの上に置いたまま操作しようとすると、本体が安定せず、クルっと回転してしまう。同機はワイヤレス充電にも対応しているが、チャージャーの種類を選ぶ形状といえるだろう。

柔らかい曲線で構成されたボディが、手にしっかりフィットする

 手にフィットした上に、画面が小さいため、片手での操作が非常にしやすい。画面上部から通知を引き出す際には、親指がしっかり対角まで届くし、キーボードも標準のサイズのままで端まで片手で打つことが可能だ。端末を手の中で無理に動かさなくてもいいため、安心して操作できる。本体サイズは小さいが、横幅は69mmあるため、QWERTYキーを表示した際にもキー1つ1つは十分なサイズになる。この操作性のよさは、BALMUDA Phoneを使う利点の1つだ。

ボディがコンパクトなため、片手で持った際に指が画面の端までしっかり届く

 一方で、操作感が滑らかかというと、必ずしもそうではない。チップセットにはSnapdragon 765を採用しており、パフォーマンスは十分だが、わずかながらスクロールが指にきっちり追従しないことがある。これは、ディスプレイのフレームレートが60Hz駆動だからかもしれない。ハイエンドモデルはもちろん、ミドルレンジモデルにも90Hzや120Hz駆動のディスプレイを搭載した端末が増えているため、これに慣れると滑らかさが物足りない印象を受ける。

スクロール時に滑らかさに欠けることがあった。これは、ディスプレイのリフレッシュレートが低いためだろう

 操作性という意味では、電源キーと指紋センサーの位置にも疑問が残った。BALMUDA Phoneのそれは、背面にあり、カメラの反対側に搭載されている。本体が小さいがゆえに、右手で持つと人差し指が自然とカメラに近づき、間違ってそちらを押してしまうことが多々あった。画面を点灯させる際には、電源キーを押し込む必要があるのも、少々まどろっこしい。Androidスマホは、指紋センサーに触れるだけでロックを解除してから画面を点灯させられる端末が多いため、ここにも不満を感じた。電源キーが背面にあることで、スクリーンショットも取りづらい。

電源キー兼指紋センサーが背面にあり、カメラと並んでいるため、間違ってカメラに指を当ててしまうことが多々あった

 スペースの都合上、電源キーや指紋センサーはどうしても背面に置かざるをえなかったのかもしれないが、使い勝手を考えると、これはマイナスだ。スマホにもう1つの選択肢を加えることをコンセプトにしているBALMUDA Phoneだが、電源キーや指紋センサーは普通のスマホと同じでよかったと感じている。標準ではオフになっているが、タップして画面をオンにするよう設定するなど、ユーザー側が工夫する必要もありそうだ。

工夫が凝らされたオリジナルアプリを搭載するも、バリエーションには課題も

 ディスプレイサイズが小さいため、動画視聴には向かない。しかもディスプレイの右上には、インカメラ用の大きなパンチホールが空いているため、写真や動画を全画面表示すると、一部が欠けてしまう。このサイズなら、割り切ってインカメラの画素数を最低限まで落とすなどして、パンチホールは小さくしてほしかった。電子書籍などのコンテンツも使いづらい。文字も小さく、サイトやメールの書式によっては、拡大しなければ読みづらいことがあった。

動画の迫力には乏しい。フロントカメラのパンチホールが大きいため、映像が欠けてしまうのも残念だ

ディスプレイサイズが小さいため、1画面に収まる情報量は少ない

2021年の注目度No.1スマホ「BALMUDA Phone」に10万円以上払う価値はある?

 もっとも、これはコンパクト端末共通の課題で、事前に想定できることだ。この端末であえて動画や電子書籍などのコンテンツをヘビーに使おうとするユーザーは少ないだろう。BALMUDA Phoneはどちらかというと、そのようなスマホ向きのコンテンツとは一定の距離を置くための端末だ。代わりにバルミューダが力を入れているのは、基本機能。スケジューラーやウォッチ、メモ、計算機といった各種アプリは、OS標準のものではなく、自社で開発したものがプリインストールされている。

 例えば、スケジューラーは一般的な端末のそれとは違い、縦軸が日付、横軸が時間になっており、二次元的に予定を把握することができる。ピンチイン・ピンチアウトでスケールの変更ができるため、入っている予定を俯瞰したり、逆に細かく時間を見たりといった操作をスムーズに行える。また、計算機は「億」や「万」といった日本語ならではの単位を表示できたり、ドルやユーロに通貨換算ができたりと、かゆいところに手が届く出来栄えだ。

スケジューラーは縦軸が日付、横軸が時間で、ピンチイン・アウトでスケールを変更することができる

計算機には、「億」「万」の単位を表示できるほか、通貨換算機能も搭載されており、多機能だ

 ホーム画面のカスタマイズ性が高いのも、ソフトウエアでの工夫といえるだろう。ホーム画面上に表示されたバーを斜め上、もしくは斜め下にスワイプすることであらかじめ設定したアプリを起動できたり、画面上にイニシャルや電話番号を表示できたりと、既存の端末にはない工夫が多い。壁紙だけではない、自分らしさを出せるのは意欲的な取り組みといえるだろう。

ホーム画面の色を変更したり、ストライプに割り当てるアプリを変更したりが可能。名前や電話番号を表示できるのは、独特な機能といえるだろう

 しかしながら、独自アプリが本当にハードウエアとしてのBALMUDA Phoneにマッチしているのかという点には、一定の疑問が残った。スケジューラーのコンセプトは評価できるものの、予定を一覧しようと思うと横幅が必要になり、BALMUDA Phoneだと小さすぎる。横表示にも対応していないため、1日の予定を把握する際に、どうしてもスクロールが必要になってしまう。電卓も便利だが、Google Playを探せば近い機能を持ったアプリは見つかる。独自アプリは確かに端末の味付けにはなっているものの、購入の決定打にはなりづらい。

 また、基本にこだわっている割には、ボイスレコーダーアプリがなかったり、メーラーや音楽再生アプリがグーグル任せだったりと、足りない機能も目立つ。ツールとして使えるスマホを打ち出してはいるが、その文脈でもまだまだ物足りないというのが率直な印象だ。発表時には、アップデートでアプリを追加していくことを宣言していたため、早期の機能強化を期待したい。

カメラの実力はいかに? 料理モードもチェック

 もう1つ、バルミューダが手を加えたのがカメラだ。画素数が4800万画素と高く、4つのピクセルを1つにして1200万画素相当で撮影することで、光を多く取り込めるようになっている。ミドルレンジモデルでは一般的な仕様で、この点には特筆すべきことはあまりない。残念ながら、カメラはこの1つのみ。超広角カメラや望遠カメラなどに切り替えることはできない。

カメラは4800万画素で、撮影時は1200万画素相当になる。シングルカメラで、超広角カメラや望遠カメラは非搭載

 特に超広角カメラがないのは残念だ。デジタルズームである程度の代用が効く望遠とは違い、広角側に画角を広げるのは、ハードウエアがなければ不可能だからである。BALMUDA Phoneが3万円前後のエントリーモデルならあきらめはついたかもしれないが、10万円を超える端末としては、やはり機能不足であることは否めない。限られたスペースに2つのカメラを押し込むのは限界もあるが、ここは押さえておいてほしかった部分だ。

 絵作りは、どちらかというとナチュラルな印象で、コンピュテーショナルフォトグラフィーで彩度がパキッと持ち上がったスマホカメラの仕上がりとは一線を画す。例えば、以下のようにGalaxy Z Fold3 5Gと比べると、青空の青さが自然に写っている。どちらがいいとは一概には言えないが、SNS映えを狙うならGalaxy、自然さを重視するならBALMUDA Phoneといったところだろう。ただ、夜景は雰囲気が出すぎてしまうきらいがあるのと、暗所がつぶれてしまう傾向が強く、あまりキレイに撮れなかった。

色合いはナチュラルで、見た目に近い絵になるようなチューニングが施されている

こちらはGalaxy Z Fold3 5Gで撮った写真。BALMUDA Phoneと比べると、発色がパッキリしている

逆に、暗所は雰囲気が出すぎているような印象を受ける。暗い場所がつぶれすぎているのも難点

 バルミューダならではなのが、料理モードだ。オン・オフで同じ料理を撮り比べた写真を以下に掲載したが、違いは一目瞭然といえる。一方で、明るい昼間の風景は自然に撮れていたのに対し、料理モードの処理はやややりすぎなようにも感じた。この写真で言えば、ラーメンのスープが不自然に白く飛び気味になっていて、油のこってり感や、具材の質感が失われてしまっている。同じ料理でも被写体によって得意、不得意はあるが、もう少し自然さは残してほしい。

通常モードで撮ったラーメンの写真。白いスープがどことなく濁って見える

料理モードをオンにしたところ、明るく、彩度の高い写真になった。ただ、少々不自然な印象も受ける

 カメラのユーザーインターフェイスには、まだまだ改善の余地がある。上記の料理モードや、夜景モードは設定メニューから主導でしか切り替えられず、AIを使ってシーンを自動で認識するような機能が搭載されていないため、撮影時に手間がかかる。オートフォーカスなどを含めた動作速度も、一般的なミドルレンジモデル以上の端末に及んでいない印象だ。ソフトウエアで改善できる点は、継続的なアップデートを期待したい。

モードの切り替えがしづらく、対応している機能も少ない。カメラのユーザーインターフェイスは要改善だ

 一方で、おサイフケータイに対応していたり、5Gが利用できたりと、新規参入のメーカーながら、日本のスマートフォンユーザーに必要な機能はある程度網羅している。ディスプレイが小さく、取り回しがしやすい端末を求めていたユーザーには、ある程度フィットする端末といえるだろう。とはいえ、10万円超の端末としては改善の余地が多いのも事実だ。スマホの価値は機能だけで評価できるわけではないが、価格なりの圧倒的な“体験”があるかというと、そこには疑問符もつく。2台目スマホとして購入するにも少々高額すぎるため、今までのスマホとは違う選択肢を提案するのであれば、逆にもっと機能を絞り込んでもいいのではと感じた。

【石野's ジャッジメント】質感★★★★持ちやすさ ★★★★★ディスプレイ性能★★★UI ★★★★撮影性能★★★音楽性能★★★連携&ネットワーク ★★★★生体認証★★★★決済機能★★★★バッテリーもち ★★★*採点は各項目5点満点で判定*試作機のため、ネットワーク周りやFelicaなどが使えず評価不能です

取材・文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。


04 / May / 2022 デジタル

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